2019年3月12日午後七時から開催されたfotowa三周年を記念したフォトグラファー感謝祭☆に参加しました。
fotowaに所属されているフォトグラファーさんやスタッフの方々とじっくり二時間の懇親ができました。
△ん、向こうに見える赤いものはなんだ!
曽我もfotowaに所属し、fotowaを通じて出張撮影のご依頼をいただいております。
2019年この組織がどうなっていくのか。どうしたいのか。
強い興味をもってみなさまと意見交換をしましたので、現場からリポートいたします。
この記事の目次・索引
fotowaの2019年の方向性
2016年より七五三需要をまずは取り入れつつ、お宮参り、誕生日などさまざまな分野を開拓しながらfotowaは伸びてきました。
2018年はロケーション撮影との相性の良さが奏功し、ニューボーンフォトの需要を掘り起こしている状況なのだそうです。[1]今後プラットフォーマーとしてのfotowaが考えていることは次のような文章でまとめられます。
2019年は媒体を使ってユーザーの流入数を増やすのは大前提として、その後フォトグラファーとのマッチング率を向上させる。一方で、一度ご利用いただいたユーザーさんのリピート率をあげつつ、webの仕組みの中で問題解決を図っていく。
fotowaの母体はストックフォトのPIXTAなので、プラットフォーマーとしてのノウハウの蓄積があるところが頼もしいですね。
プラットフォーマーはその名の通り、活動のプラットフォームを提供しています。そこでの振る舞いは、ユーザーサイドにもクリエーターサイドにも偏りすぎないようにサポートして行くことが大切です。
サポートが助けてくれるから、とクリエーターが頼りすぎてしまうのもfotowa側のリソースが割かれてしまうし、ユーザーサポートが手薄になれば当然評判が保てない。その辺のサポート体制のよいバランス感覚がfotowaにはPIXTAから引き継がれている印象です。
ストックフォト数多あれど、日本人モデルによる日本人向けのストックコンテンツならここだな、という確固たる評判がPIXTAにはあります。では、フォトグラファーとのユーザーをマッチングさせるサイトが数多あるなかで、fotowaがユーザーから選ばれ続けるには、なにがフックになるのでしょうか。
質の良いフォトグラファーとマッチングの精度
差別化のキーとなるのは、はやり「質の高いフォトグラファーの確保」。そして、「ユーザーの要望にマッチングさせる技術の向上」。この二つです。
前者については、スタッフが日本全国を回ってフォトグラファー登録を促していますし、各種セミナーを開催することでロケーションフォトグラファーの意識変革を促してます。曽我も以前参加したセミナーは有意義なものばかりでした。[2]
後者については、すでに2018年から撮影スポット検索が採用されて運用されていますね。この撮影スポット検索を有効利用することで同日何件も効率良く撮影することができた、というフォトグラファーさんからお話を伺うことができました。
複数の撮影スポットパターンを容易しておいて、撮影地が決まるごとにきめ細かくそれ以降の時間を変更していく。そうすれば撮影場所近くでの別の撮影を受けられるから「場所が遠いからキャンセル」という事態を未然に防いでいることになります。
これは仕組みによる問題解決の好例ですよね。今後もリピート率を上げるための仕組み作り、新規ユーザーにはフォトグラファーのマッチング絞り込みを考えていきたい、との野心的な声をスタッフ側から聞きました。
ただ、ひたすら選択肢が増えさえすればユーザーにとって良いことばかり、とは必ずしも言えず、新規ユーザーはフォトグラファーを選び切れないとストレスがかかります。
理想は、ある条件を入力して
「あなたにぴったりのフォトグラファーはこの三名です。早速その中から選んで撮影に呼びませんか。」
みたいなサジェスチョンがかかると面白い。
例えばfotowaフォトグラファーがユーザー向けに納品されたデータはストックされていますから、画像分析によるマッチングは一つのレイヤーとして機能します。PIXTAでも実績のある画像分析のデータを、fotowaにも応用したらどうでしょう。
ユーザーが撮影スポットを選ぶと、サンプル画像が三つほど出てきて「あなたの好きな写真のテイストはどれですか?」と聞かれる。一つ選んだら、「あなたの好きな色味はどちらですか」とサンプル画像二つの中から選ぶ。
そうすることで、たくさん所属するフォトグラファーを常に三人以下に絞り込みしてサジェスチョンしてあげると、ユーザーはたった三つの選択肢の中から選ぶことができます。
担当者様のお話を聞きながら、フォトグラファーの属人的なパーソナリティまで考慮にいれるのはデータ収集の段階で項目に課題がありそうですが、納品画像データを一つのレイヤーとして撮影スポットと重ねることは自動化できるのではないかな、と曽我は考えておりました。以下は一つのご提案動画です。
サンプル画像はもちろんPIXTAから購入すれば、PIXTA売り上げにも貢献し、stockフォトグラファーも喜んで会社としてはwin-winのはずです。
成長する組織の課題
もちろん、そう簡単に画像サジェスチョンが作成できるわけではないでしょう。
サジェスチョンの仕組みが入る事で検索の結果表示が遅れたりしてはユーザーの苛々が募りますから、マッチング精度を高くして、且つサイトのスピードも落とさず、となれば大規模なシステム開発が必要ですし、外部への支払いも嵩みます。
成長する組織では売り上げが伸びているからこそ、逆にそれが免罪符となってしまい、スタッフ間での問題解決やリーダーシップが育まれにくい可能性もありますね。また人物撮影に限らず需要が顕在化しつつあるビジネス商用ユース[3]についてはどう対応するのか、などなどさまざまな課題と展望をお聞きしました。
fotowaは2019年どんな成長を遂げるのか。どこにバランスを見いだすのでしょうか。私もいち所属フォトグラファーとして腕を上げて、ユーザー様から選ばれるよう精進していきます。
最後になりましたが、三周年おめでとうございます
最後になりましたが、三周年おめでとうございます。
今回はフォトグラファー感謝祭ということで食事もいただき、帰り際にはノベルティのプレゼントまで手渡しでいただきました。ありがとうございました。
追伸: 2020年コロナ以後の決算予想について
追加情報として、コロナ禍以降の決算予想についてコメントしておきます。
2020年3月~6月にかけて、世界中をコロナ禍が襲っています。
日本では沈静化の動きが見られるものの、世界においてはまだまだ終息したとは言い切れず、
アフリカ、南アメリカなどで感染者が増えています。
また中国やスウェーデンでは第二波の懸念があるなど終息の兆しがみえません。
このことは、アフターコロナというものが今後の世界にはやってくる、というのは幻想であり、ウィズコロナが常態になることを意味してると言っていいでしょう。ウィズコロナ、つまり、コロナは季節性のインフルエンザのように毎年世界各地でどこかしらで発生する。重症患者に効くようなワクチンは開発されるかも知れないが、予防段階から根絶できるようなものではない、と曽我は判断しています。
さて、そんな中PIXTAは2020年5月13日に四半期決算を発表しました。
1-3月の四半期の連結最終損益は500万の赤字。しかし、注目点としては2020年12月の今期予想を増益増収で変えていないことです。
ざっくり分かりやすく転記すると、
- 売上高30.8億(前年比11.9%増)
- 経常利益2.37億(前年比53.9%増)
- 最終利益1.61億(前年比78.9%増)
となっています。コロナ禍において、むしろ業績を伸ばせるというのはどういう理由でしょうか。
私が考える大きな理由は以下の三つです。
- PIXTAは写真をオンラインでストックしているのであり、店舗型のビジネスではない。日本市場に向けた、日本人モデルによるコンテンツといえばピクスタ一択になってきており、ネットにおいては一社が総取りになる構造になりやすいこと。2020年3月〜6月のコロナ禍において、実際のモデルを使ったストック用の撮影をフォトグラファー達はできなかったかも知れないが、ストックビジネスの性格上それがダイレクトに売り上げには響いていない。つまり、購入したいと思えばそこに画像はある。韓国、台湾などアジア方面に足がかりをつくっている点も、強みの深耕として評価できる。
- fotowaが成長モデルとして順調に延びていること。fotowaは出張撮影として認知度を上げてきており、簡単で分かりやすい料金体系を支える身近なカメラマンの調達が最重要課題だが、47都道府県の全国制覇を果たしている(在籍フォトグラファーも1000名を超えた)。ニューボーン撮影ではコロナ禍でも依頼数が落ちていないこと。国内出張撮影の需要は7000億円とも言われていて、これを取り込むにはまだまだ市場を開拓できる領域が広がっている。
- スナップマートでのアンバサダープランが面白い。さらに本家の写真撮影では、PIXTAオンデマンドも始まり、横展開も充実してきたこと。
PSRはほぼ一倍、これをどう評価するか。
2020/06/17現在の株価をみてみると、ざっくり時価総額は30億。2020年5月の決算予想で、2020年12月の想定売り上げとほぼ同じです。つまり、PSR(=Price to Sales Ratio 株価売上高倍率)はきれいに「1」となります。
株式の割高割安を示すのに一般的なのは、PERやPBRであり、PSRは理論値としては確度が低いと言われています。ただ、ベンチャー企業の指標としては活用できるところもあります。
このPSR「1」をどう解釈・評価したらいいのでしょうか。
古俣社長の「創業3年目にリーマン・ショックが起こって生き延びた話」と合わせて、修羅場をくぐり抜けてきたリーダーの考え方、それがリアル経済、株価に与える影響などを考察していきます。
fotowaの親会社、コロナ禍でも成長できると豪語するPIXTA。昔取った杵柄、経理の分析能力をフル動員して、2020年のPIXTAの業績を深堀していきたいと思います(→→→続く)
- 曽我はニューボーンフォトだけは分野としてやれない、やらないと決めているので、時流に乗れず残念です。赤ちゃん用の小物を集めたり、それを可愛らしく配置したりとかは柄じゃないからな~。
- 特に神社撮影の振る舞いについては勉強になりました。ブログ記事を作成しましたのでご覧ください。
- この事業は2020年になってPIXTA オンデマンドとして結実しましたね。