Profoto A1Xとは、美容師のしゃきしゃき高級はさみ

ProfotoのA1/A1Xのオフカメラの使い方についてまとめています。

とにもかくにもTTL

私はProfotoのA1とA1Xを一灯ずつ、計2灯もっています。

A1/A1Xの最大の特徴は「とにもかくにもTTLで撮影してみて、その後マニュアルに切り替えて調光すれば、ストロボを使いこなした気になる」という便利さにあります。

ところが、一通りの撮影を終えて、もっと自由自在に光を操りたいと考えたときに、立ち止まります。カメラ側につけるconnectorがシンプル過ぎる構成であるし、さらにA1/A1Xそれぞれが親機もなれる、という柔軟さに戸惑うのです。

この記事では、Profoto A1/A1X、connector、モバイルアプリのprofoto、それぞれの受託を考察し、最終的には「A1/A1Xと仲良くなって、自由自在に光を創り出せるようになる」ことを目標にしています。

△半逆光の形で背景から自然光が差します(モデルご本人の許可を得て掲載)。

A1とA1Xの違い

A1の発売は2017年で、A1Xの発売は2019年です。二年のラグを経て、A1Xは発売されたわけですが、大きな違いが三つあります。

大きな変化はバッテリーにあります。

公式データでは、A1がフル出力で最大350回の発光である一方、A1Xは最大450回とのこと。数字の上では違いがありますが、実際にA1/A1X両方使用してみて、明らかにバッテリーのモチが違いますね。A1ではぐんぐんバッテリー残量が減っていきますが、A1Xは余裕が感じられます。

電圧が高くなり、リサイクルのチャージタイムがA1の1.2秒からなのに対して、A1Xでは1秒とのこと。
この違いは正直分からないですね。もともとストレス無く光を打てるので、どちらであってもラグがありません。

リサイクルチャージタイムのラグがほとんど気にならない点については、フォトグラファーの西田航さんもYoutubeで述べてますので、ご参照してみてください。

二つ目の違いは、ヘッドの首振り部分の改良にあります。

A1ではやや柔らかめのヘッドになっていて操作がしやすい反面、ソフトバウンスなどを装着した場合に、簡単に傾いてしまうという欠点があります。

A1Xではスムースなヘッドの動きに加えて固めの設定になったことで、しっかりとソフトバンスその他アクセサリーを固定して使えます。

△ソフトバウンスを装着するとやや不安定になるA1ですが、ソフトバウンスを装着するときには基本、ソフトバウンスが先。その後にドームディフューザーやカラージェルを取り付けます。その順番さえしっかり守っていれば、ソフトバウンスが風に飛ばされたりすることはありません。

三つ目はもちろん価格が違います。

金額がこなれてきて「A1が買い」である旨の発言を、同じくフォトグラファーの矢沢隆則さんがYoutubeで述べてますので、ご参照してみてください。

光そのものが滑らかに広がる

Profoto A1/A1Xの光の質が違うことについては、敢えて多くを語らなくてもよいでしょう。ストロボとの比較で、出力や色にばらつきが少ないことと、光そのものが滑らかに広がることについては、ことばで説明するよりも作例を掲載します。


△光の質については、言葉で説明するより、今後動画や作例を用いてご説明いたします。

ここで大切な事実をご指摘します。プロフォトの製品は光量について、一般的なクリップオンストロボで用いられるGN(ガイドナンバー)ではなく、Ws(ワットセカンド)という単位を用いています。このWsに馴染めるかどうか、仲良くなれるかのカギとなります。

アクセサリーを何も装着しない場合の色温度が5500k前後で、GN(ガイドナンバー)で言うなら最大出力30から40と考えてよさそうです。出力は2.0 – 10.0 の9段の範囲で、0.1段のステップ調整が可能です。特に弱い光のときに細かく調整できるのがうれしいですね。

先ほどの西田さんのYoutubeでも、

「96Wsとは、ISO 400までで、シャッタスピード1/200秒で、F5.6ぐらいで、真っ暗な部屋でも人一人ぐらいなら撮れてしまう」西田航さんYoutube PROFOTO A1レビュー【上質なストロボ光】

とおっしゃってます。二灯あれば、どんな撮影場所であっても撮影ができます。

基本の使い方 1 TTLの二灯の動き

まず、基本的な設定として、

A1 – TTL
A1X – TTL
Connector – Auto

とすれば、自動で調光してくれます。その際、A1/A1Xともに、同じ出力となります。つまり、A1 5.9とすればA1Xも5.9となります。ここで、

A1 – TTL
A1X – TTL
Connector – manual

としてconnectorのみをmanualにしたら、どうなるでしょうか。この場合、一つ前の調光が5.9であるなら、その設定がロックされます。どのように撮ろうしても、

A1 – TTL – 5.9
A1X – TTL – 5.9

のままステイとなりますが、ここから興味深い展開が待っています。

例えば、A1はTTL設定のままなのですが、ダイアル操作にて、数値を変更することができます。例えば、アクセントライトが強い、という印象があるとすれば、数値を下げていくわけですね。A1の数値を下げて、

A1 – TTL – 2.0
A1X – TTL – 5.9

Connector – manual

という設定にして発光させると、数値はこのままになります。つまり、カメラ側に装着されているconnectorがボスということになり、この設定ならボスがmanualなので全てマニュアルになります。

これはとても便利。まずはconnector – autoに設定してTTL調光しておいて、manualに戻し、適宜ダイアルでそれぞれの設定を変更してあげればOKということです。このTTL調光の数値が継続的に引き継がれる、というのも便利な機能です。まずはざっくりTTLしてみる。そして個別の出力についてはconnector – manualからの個別ダイアルで調整という流れです。

基本の使い方 2 TTLの二灯の動き(クリップオン)

ところで、A1/A1Xは内部にAir remoteが入っています。よって、A1をクリップオンとしてA1Xをオフラインに設定することができます。

A1 – TTL(クリップオン)
A1X – TTL

とすれば、自動で調光してくれるのは同じです。ここで、今度はクリップオンされたA1の設定をTTLからmanualへと変更します。

A1 – manual(クリップオン)
A1X – TTL

すると当然クリップオンのA1のみ数値が変更でき、リモートのA1Xは先ほどの自動調光の数値がステイします。やはりカメラについているものがボス、という概念が同じとなります。たとえ、A1X側がmanualになっていたとしても、

A1 – TTL(クリップオン)
A1X – manual

クリップオン側のA1がTTLであれば、A1Xはその設定に引きずられて数値が変更されます。つまり大原則、

カメラについているものがボス、というルール

があり、厳格に引き継がれていきます。

『実例』D850にconnectを付けて、D500にA1もしくはA1Xを取り付けて撮影


▲D850にconnectを付けて、D500にA1もしくはA1Xを取り付けて撮影します。右下D850で撮影するときには、ボスはD850に搭載したconnectになり、二灯を同時に制御します。

私はNIKON のD500とD850を保持しています。どちらも操作性がそっくりなので、相性のよいコンビです。
ロケーション撮影をするときには、基本この二台持ちで撮影します。

D500はAPS-Cのフラッグシップ。85MMを付けて、望遠に強くしています。
D850はフルサイズで、Sigmaの50mを装着。幅広くポートレートをカバーします。


▲実際にD850を持って、撮影すると二灯が光りますね。

二灯たきながら、撮影していて望遠の絵が欲しい、となったとします。その際、D500を持って撮影すると、クリップオンとしてのA1とリモートしたA1Xが光ります。

絵としては次の通りです。


▲D500を持って撮影すると、クリップオンとしてのA1とリモートしたA1Xが光ります。

『実例』二灯で撮影すると日陰でも明るい


▲二灯使った作例です。どんぐりでさえ雰囲気を変えられます。

ロケーションにての撮影時、ストロボが必要となるケースの一つが「ピーカン天気で影が強過ぎるとき」ですね。

日差しがあまりに強くて、影が強くでてしまう。またモデルさんがつらくないように日陰に入ってもらう、というケースがあります。
光が差すのと同じ方面から一灯を入れて、逆に陰を起こすためにレフ版を使います。

profotoアプリによるマニュアル操作

▲シンプルな構成のprofotoアプリ。接続も快適です。

手元のD850にconnectorが装着されていて、それをmanualにセットします。

二つのストロボが離れているときに重宝するのがこのprofotoアプリです。

右か左にフリックして、光量を変更させるというシンプル操作です。

全体の流れとしては、まずautoにて一回光を創る。connectorをmanualにして、触れる場所にストロボがあるならそのダイアルを回す。遠くに離れたところにあるなら、profotoアプリでその光を微調整する、となります。

遠くに離れたストロボ二灯をアプリで調整していると、クライアントからは「今どきはそんなこともできるんですね」と感心されたりしてちょっと「デキるカメラマン」を演出できますよ。

Profotoの機材は美容師さんにとっての拘りの鋏

A1/A1Xはストロボにしては高級です。

でも、仕事で利用する機会のある人にとって、ハイアマチュア以上の方々には間違いなく価値のあるものです。

美容師さんが使う鋏は一丁10万以上はして、それぞれ拘りの研師に都度研いでもらっているそうです。切れない鋏でお客様の髪をいじりたくない。

A1Xとは、カメラマンにとっての高級な道具の一つ。

光度にばらつきのあるストロボでお客様の肌を撮りたくない。そんな要望に真摯に応えてくれる拘りの逸品なのです。


▲人物の肌を際立たせるには良質な光がかかせません。

参考にした文献一覧

△A1Xはまだまだ高価ですが、A1なら価格も落ち着いてきました。

柔らかい物腰とお洒落なセンスのライティングに定評があるshun先生の一冊。曽我の理想の撮影方法の一つです。shun先生はProfoto の講師でもいらっしゃいます。

2023.1.12